【表 題】 | コンピュータにおける複製 |
【著 者】 | 野一色勲 |
【掲載場所】 | 著作権研究16巻68頁〜95頁 |
【テ ー マ】 | 「複製」の定義を検討し、RAMへの記憶を著作権法上の「複製」に含めることによって、プログラムの「使用許諾」を「複製許諾」の一種として位置づけようとしている。 |
【感 想】 | 日本とアメリカとでは著作権法上の「複製」の定義が異なっているのに、「日本法でいう『有形的に再製する』ということは、やはり『固定』と同じ意味を包含する」として論を進めてしまっており、無理があると思う。 |
【表 題】 | 情報化社会における著作権と契約法理 |
【著 者】 | 近藤剛史 |
【掲載場所】 | パテント51巻5号75頁〜85頁 |
【テ ー マ】 | コンピュータプログラムについてライセンス契約の成立要件と効果、必要性等を論じたもの |
【感 想】 | 前半のさわりの部分は明快です。ただ、「経済的合理性」何てことを言い出したとたんに論理ががたがたになっていますね。コンピュータ・プログラムのように製品サイクルの著しく短い商品について、「製品寿命を度外視」してリサイクル循環が半永久的に続いたらどうなるかなんてことを考えて法律論を組み立てる必要性というか正当性ってあるのでしょうか。 |
【表 題】 | ビデオゲームと映画の著作権 |
【著 者】 | 西台満 |
【掲載場所】 | 秋田大学教育学部研究紀要 人文科学・社会科学部門 50号31頁〜37頁 |
【テ ー マ】 | コンピュータゲームが「映画の著作物」にあたるとする多数説に対する疑問を提示したもの |
【感 想】 | インタラクティブなものは「固定」されていないという当たり前のことを、孤立を怖れず論じた点で大いに評価できる文献である。 |
【表 題】 | ゲームソフトの頒布権と用尽に関する一考察 |
【著 者】 | 森本紘章 |
【掲載場所】 | JCAジャーナル 1995年11月号2頁〜6頁 |
【テ ー マ】 | ゲームソフトについての頒布権は用尽しないということを蕩々と述べたもの |
【感 想】 | かの有名な「三国志III」事件で、光栄の代理人を務める著者による論述。内容云々の問題以前に、日本語に問題がある。この論文を読んで、著者の論理の流れを拾える人は極めて限られているであろう。 |
【表 題】 | 続・著作権の事件簿(2) 二つのビデオゲーム判決 ─大阪地裁1997年7月17日─ ─大阪地裁1997年11月27日判決─ |
【著 者】 | 岡邦俊 |
【掲載場所】 | JCAジャーナル 1998年4月号44頁〜47頁 |
【テ ー マ】 | ネオジオ事件地裁判決とときめきメモリアル事件地裁判決の解説 |
【感 想】 | 特に目新しいことが書いてあるわけではない。ただし、特にネオジオ事件地裁判決は文章が長いので、簡単に内容を知るには最適である。 |
【表 題】 | 続・著作権の事件簿(7) 著作者人格権と権利制限規定 ─「アウトプット」論を契機として─ |
【著 者】 | 岡邦俊 |
【掲載場所】 | JCAジャーナル 1998年9月号54頁〜57頁 |
【テ ー マ】 | プレイヤーが行う家庭内での改変が著作者人格権(同一性保持権)侵害にあたるかを論じたもの |
【感 想】 | 著作物の複製物を家庭内で改変したにすぎない場合、同一性保持権侵害とするに及ばないのではないかという問題意識は正しいと思う。 |
【表 題】 | 著作物の無形的伝達と有体的頒布 |
【著 者】 | 辰巳直彦 |
【掲載場所】 | コピライト1999年2月号25頁〜45頁 |
【テ ー マ】 | 著作物についての一般的頒布権導入の問題と、「用尽」について論じたもの |
【感 想】 | 講演録なので、一般に人にも読みやすい、見解自体も、非常に常識的。 |