弁護士 小 倉 秀 夫
自分の名誉やプライバシーを侵害する情報がウェブサーバに投稿された場合、そのウェブサーバの管理者が特定できれば、その削除を求めることができます。厳密に言えば、投稿者の氏名・住所等を被害者が知っている場合であって、投稿者自身がその投稿を削除できるシステムになっているときは、その投稿者自身を相手方として削除請求をする必要がありますが。ただし、投稿者が実名を明示している場合であっても、住所等を明らかにしていることは多くないので、ウェブサーバ管理者に削除要求をすることができる場合が多いです。
ウェブサーバを用いた情報流通の媒介者(コンテンツプロバイダ)としては、自社サービスを用いて不特定人に向けてなされる情報送信(特定電気通信)の存在を通知されると、これを削除するかどうかを検討する義務を負います。その情報送信により他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるのにこれを削除しなかった場合、コンテンツプロバイダは、損害賠償義務を負うこととなります。逆に言うと、特定の投稿の削除を求める場合、コンテンツプロバイダに、問題の投稿の場所と内容を通知するとともに、それが権利侵害に当たるとする根拠を示す必要があると言うことになります。
コンテンツプロバイダ側で削除申請手続きを用意してくれている場合には、その手続きに則って削除申請をすることとなります。その場合でも、問題の投稿により自己の権利が違法に侵害されていることをコンテンツプロバイダ側に説明しないといけないので、弁護士に相談しておくのが無難です。
コンテンツプロバイダ側で削除申請手続きを用意していないときは、コンテンツプロバイダの氏名・名称や住所・所在地を探し出して、そこに文書等で削除要請を送りつける必要があります。
ただし、この「コンテンツプロバイダを特定する作業」が、現状ではかなりやっかいなものとなっています。海外(とりわけ非英語圏)の事業者が運営するウェブサーバが用いられていたり、GMO Internet社などが提供するWhois情報隠蔽サービスが利用されたドメイン名を使用されたウェブサーバが用いられていたりすることが多いからです。
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