ネット上の中傷対策──反論

 弁護士 小 倉  秀 夫

 自分のことを攻撃するブログエントリーに対しコメント欄で反論したり、自分のことを攻撃する電子掲示板の投稿、SNSにおける投稿に、同じく投稿をもって反論をしたりする。これが有効に働く場合もあります。大きく分けると、

です。

自分の意見についての批判がなされている場合

 自分の意見に対する批判が的外れな場合、あるいは自分の意見を正しく理解せずに批判がなされている場合、適切な再批判をすることにより、そのやりとりを見てくれた人からの評価が回復する可能性が十分にあります。ただし、批判してきた人やそのコアな支持者が考えを改めることは通常期待できないので、あまり深入りしない方が賢明です。  

自分に関するネガティブな事実が摘示されている場合であって、ネット上での反証が容易である場合

 自分に関するネガティブかつ虚偽の事実が摘示されている場合、それが真実でないということをきちんと言っておくことはある程度有効です。ただし、ネット上で反論をしても、相手がその摘示事実に拘泥した場合には、水掛け論で終わってしまいます。その際、相手が匿名さんであった場合でも、あるいは相手が匿名さんであればなおさら、そちらの見解を信じてしまう人が相当数現れるのが、今の日本のネット環境です。

 水掛け論以上の効果を得ようとした場合、証拠を提示する必要があります。ただし、相手が摘示した事実がなかったことを示す客観証拠などないということは普通にあります(例えば、自分が横領等の犯罪を犯した旨摘示されている場合に、そのような横領行為等をしていない旨の客観証拠というのは基本的にありません。)。また、相手が摘示した事実がなかったことを示す客観証拠があっても、それをネット上で万人に対し公開することが不適切な場合も少なくありません。例えば、「在日認定」に反論するために自分が掲載されている戸籍謄本をウェブ上にアップロードすることが適切だとは思いません。

 なので、ネット上での批判に対し、反論が功を奏する場合はそれほど多くないように思われます。


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