[注1]第1審は東京地判平7・7・14判時1538号203頁、第2審は、東京高判平11・3・18判時1684号112頁。
[注2] 第1審は大阪地判平9・7・17判タ973号203頁。
[注3] 第1審は大阪地判平9・11・27判タ965号253頁、第2審は大阪高判平11・4・27判例集未登載
[注4] プレイステーション版は、「ときめきメモリアル forever with you」という名で発売されています。
[注5] 例えば、藤崎詩織の場合、文系・理系・芸術・運動各130以上、雑学120以上、容姿・根性各100以上であることが必要とされています。
[注6] 例えば、藤崎詩織の場合、ときめき度80以上、友好度50以上、傷心度50以下、デート回数8回以上であることが要求されています。
[注7] 東京高決平成4年3月31日知裁集24巻1号218頁
[注8] 従って、「ときめきメモリアル」の連続影像群を単純な「映画の著作物」と認めた東京地裁において、「本件ゲームソフトのプログラムを実行することにより展開されるところは、多種多様のものであることが本来予定されており、・・・1995年4月9日時点におけるパラメータの数値設定が、本件ゲームソフトのプログラムの実行による本来のゲーム展開にどのように影響し、これを変化させ、最終局面においてどのように右判定に影響するのか」不明であるとしたのは、その意味では理解できます。
[注9] なお、三国志III事件の高裁判決は、「ゲームの著作物」という概念を否定しています。
[注10] 松田政行「判批」判例評論446号223頁は、「映像が連続しかつユーザーが一定の指示を操作レバー、キーボード、マウス等の入力装置を用いて連続性に変化を持たせ、ユーザーがコンピュータを操作することによってゲーム(遊び、勝負事又は競技を行なうこと)を行なうことに一定の表現形式が認められ得るもの」は、「映像の連続性、固定性の存在を認定せず、新しい範疇の著作物『ゲーム出力の著作物』・・・とすることが可能ではないか」としているが、この記述によっても、どの点に「創作的な表現」を見ているのかは明らかではありません。
[注11] 松田政行「判批」判例評論446号223頁は、前記「ゲーム出力の著作物」に関して、「各出力画面とゲームに従って変化するいくつかの典型的なパターンと文書を図に示すことによって」特定される表現形式(=著作物)と、「被告プログラムによって出力される状況との差異を主張立証することによって同一性保持権の侵害を認定することができる」としますが、なぜ「いくつかの典型的パターン」だけでよいのか全く不明です。
[注12] Aという表現がBという表現を改変したものであるというためには、AとBとが異なるというだけでは足りません(それで足りるのならば無数に同一性保持権侵害が成立してしまいます。)。Aという表現が、Bという表現と同一のもの(あるいは、内面的同一性を保持しつつ翻案されたもの)として、(少なくとも)存在する必要があると考えるべきです。すると、本件メモリー・カードに記録されているパラメータ・データ(ないし、そのパラメータ・データを読み込むことによってモニターに映し出されるゲーム展開)は、「ときめきメモリアル」のCD−ROMに記録されているパラメータ・データあるいは「ときめきメモリアル」をプレイすることによって生成されるパラメータ・データ(ないし、そのパラメータ・データを読み込むことによってモニターに映し出されるゲーム展開)とは、全く別のものとして存在している(このメモリー・カードを購入する人は、オリジナルとは別個のストーリーを楽しみたくてこれを購入しているのです。)わけですから、そもそも同一性保持権侵害には当たらないように思います。
[注13] 「……データが書き込まれることによる予想を超えたゲーム展開が生じることであって、それはユーザーにとってはディスプレイ画面上の影像の変化と本来あり得なかったストーリーの出現に他ならない。まさに『内面的表現形式』の変更である」とする吉田大輔「シミュレーションゲームプログラム改変事件」著作権研究23号191頁や、パックマン・シェアウェア事件の判旨が「存在形式の要件の認定の際に『ディスプレイに映し出される影像もプレイヤーのプレーヤーのレバー操作により変化するが、いかなるレバー操作によりいかなる影像の変化が生ずるかもすべてプログラムにより設定されている』と述べ」ている点に鑑みれば、「『プログラムにより設定されている』範囲が同一性の範囲ということにな」るとしつつ、ここにいう「プログラム」とは「著作権法上のプログラムの部分に必ずしも限定しておらず、データ群を含んだ全体を指して用い」られているとする辻田芳幸「データの付加・変更と同一性保持権侵害可能性─東京地裁平成7年7月14日判決─」清和法学研究2巻2号160頁は、この考え方に近いように思われます。
[注14] ゲームの場合に即していえば、例えば「倉庫番」や「ロードランナー」等のパズルゲームにおいて、オリジナルと異なる面データを読み込んでゲームをプレイする行為が、「倉庫番」等のプログラムと既存の面データとの組み合わせ=「ゲーム映像の著作物」を改変したものとするのが妥当か否かという問題になろうかと思います。
[注15] 岡邦俊「著作者人格権と権利制限規定--『アウトプット』論を契機として--」JCAジャーナル1998年9月号54頁を参照してください。
[注16] 半田正夫「著作権法概説(第9版)」134頁(一粒社・平11)
[注17] ただし、判例・裁判例は、無断で翻案がなされた場合に、漫然と同一性保持権侵害を認めているものが多く、私見とは同一性保持権についての考え方が異なるように思われます。なお、判例・裁判例の検討については、塩澤一洋「著作物の改作的利用許諾契約と著作者人格権」法学政治学論究1997年9月号169頁以下を参照してください。。
[注18] なお、改変された物が公衆に提示・提供されてはじめて同一性保持権侵害が認められるとする見解としては、藤田康幸「著作者人格権の限界について」、岡邦俊「インタラクティブ影像と著作権──『パックマン』から『ときめきメモリアル』まで──」コピライト1998年8月号16頁、半田正夫「著作権法概説(第9版)」157頁(一粒社・平11)等があります。
[注19] ここでは、個々のプレイヤーが本件メモリーカードを使用して本件ゲームソフトのプログラムを実行することによって本件ゲームソフトの著作物としての同一性保持権を侵害することをいいます。
[注20] もっとも、特許法第101条にしても、その発明の実施にのみ使用する物を「制作」しただけでは、間接侵害とはなりません。
[注21] 中山信弘「工業所有権法(上) 特許法(第2版)」421頁(弘文堂・平10)
[注22] 大辻寛人=武田勝弘「コナミ(株)対スペックコンピュータ(株)事件」(武田執筆部分)も同趣旨です。なお、「直接の侵害行為を行う者でなくとも、これを惹起させる、誘発を行う者も侵害者となりうる」とする見解として、松田政行「判批」判例時報1555号218頁があります。
[注23] 大阪高判平成9年2月27日判時1624号131頁は、カラオケ用の機器をリースにより提供したリース会社に対して、民法第719条第2項を適用してます。
[注24] もともと、「本件における改変は、直接、映像上は姿を現さない」わけであり、コナミを勝たせるためには「ゲームを企画表現する創作者であるゲームクリエーター自身の見解・信念」(多賀谷一照=松本恒雄編「情報ネットワークの法律実務」362頁(第一法規・平11、久保田裕執筆部分)を評価しなければならないとされており、「具体的な創作的表現を保護する」という日本の著作権法の枠を超えることが求められていた。